2025年4月から、介護に関する新たな義務が事業主に課されました。
- 介護に直面した労働者への個別周知と意向確認の義務化
- 40歳前後の労働者への早期情報提供の義務化
これらの改正点について、実務対応のポイントを解説します。
1. 介護に直面した労働者への個別周知と意向確認
改正内容
労働者が家族の介護に直面し、介護休業等の申出をした際または相談があったとき、事業主は以下の事項を個別に周知し、労働者の意向を確認することが義務付けられました。
【対象者】家族の介護を申し出た従業員
【周知する事項】
・介護休業に関する制度の内容
・介護両立支援制度等の内容
・これらの制度の申出先
・介護休業給付に関すること
【周知・意向確認の方法】
面談、書面で交付。
従業員が希望した場合はFAX、電子メール等でも可
実務的なポイント
- 迅速な対応
労働者から介護に関する相談や申出があった場合、速やかに上記の情報を提供し、意向を確認しましょう。 - 周知方法の工夫
面談(オンライン含む)、書面の交付、電子メールなど、労働者が理解しやすい方法で情報提供を行いましょう。 - 記録の保存
周知・意向確認の内容や日時を記録し、適切に保存しておきましょう。後日のトラブル防止につながります。
【利用できる書式】
厚生労働省から個別周知の書式(早期の情報提供を含む)が公表されています。
周知に必要な事項が盛り込まれていますので、申し出先や自社の制度など、必要な部分をカスタマイズし、活用ください。
https://view.officeapps.live.com/op/view.aspx?src=https%3A%2F%2Fwww.mhlw.go.jp%2Fcontent%2F11909000%2F001397896.doc&wdOrigin=BROWSELINK
2. 40歳前後の労働者への早期情報提供
改正内容
労働者が40歳に達する日(誕生日)の属する年度内、または誕生日から1年以内に、以下の情報を提供することが義務付けられました。
【周知する事項】
- 介護休業や介護両立支援制度等の内容
- これらの制度の申出先
- 介護休業給付に関すること
介護保険制度に関する情報も併せて提供することが望ましいとされています。
介護保険制度の詳細な説明まで求められはいませんので、概要と介護保険の相談窓口(地域包括支援センター)を伝えておけると良いと思います。
実務的なポイント
- 対象者の特定
毎年度初めに、40歳に達する労働者をリストアップし、情報提供の計画を立てましょう。 - 情報提供の方法
書面の交付、電子メール、社内研修など、複数の方法を組み合わせて効果的に情報を伝えましょう。 - 理解促進の工夫
提供する資料には、具体的な事例やQ&Aを盛り込み、労働者が制度を身近に感じられるよう工夫しましょう。
まとめ
介護離職が話題になること、課題ととらえられることが増えています。2025年4月の法改正により、事業主には介護に関する新たな義務が課されます。これらの対応を適切に行うことで、労働者が安心して働き続けられる環境を整備し、介護離職の防止につなげることができます。
制度を知らずに、相談できることを知らずに、離職とならないように、が今回の法改正の趣旨です。
厚労省から公表されているツールも活用いただけると担当者の負担も少なくなると思います。
対応をどうぞご検討ください。